こんにちは、ナルです。
今回は、2023年6月下旬に娘と二人で出かけた福島県会津若松市への旅をご紹介します。
日々の忙しさに追われ、ゆっくりと家族で過ごす時間が減っていた私たちにとって、この旅はささやかながらもとても大切なものになりました。
娘がある日、「推しのVチューバーが泊まっていた宿に行ってみたい」と言ったのがきっかけで始まったこの計画。
最初はただの『推し活』の延長のように思えたのですが、調べてみるうちに、会津若松という町の歴史や文化、そしてその宿の持つ不思議な魅力に、私自身も次第に引き込まれていきました。
普段はなかなか見られない娘の嬉しそうな表情、旅行の計画を一緒に練る時間、どこか懐かしく、胸が温かくなるようなやりとりが、この旅の準備段階からすでに始まっていたのです。
推し活がきっかけで実現した小旅行ですが、思わぬハプニングと温かい出会いに彩られた、忘れられない一泊二日となりました。
推しの聖地へ──旅のきっかけ

この旅の目的は明快でした。
娘の推しのVチューバーが宿泊したことで話題となった、会津若松市にある「座敷童子の出る宿」に泊まること。
その宿は不思議な雰囲気と霊的な噂で知られ、私たち親子の好奇心を大いにくすぐりました。
計画は比較的直前に立てたため、観光よりも宿泊がメイン。
目的地を訪れること自体が体験となる、そんな旅の始まりでした。
宿について調べる中で、宿泊者が「不思議な音を聞いた」「写真にオーブが映った」といった体験談を投稿しているのを見て、娘はますますその宿に魅了されていきました。
私も次第にそのワクワクに引き込まれ、親子でこの機会を楽しもうと決心したのです。
娘と旅行に出るのは久しぶりでした。
普段は仕事や生活に追われて、なかなかゆっくり話す時間もとれていなかったので、こうしてふたりで出かけるということ自体が、とても特別な意味を持っていました。
新幹線の中でも、娘は目的の宿について熱心に話していて、その姿に私は嬉しさと頼もしさを感じていました。
郡山から会津若松へ、ICカードが使えない!?

初日は新幹線で郡山駅へ到着し、そこから高速バスで会津若松を目指しました。
車窓に広がる新緑の風景が、旅のワクワク感を高めてくれます。
見渡す限りの田園と、遠くに霞む山並みが心をほぐし、日常から遠ざかる感覚に包まれました。
しかしここで、思わぬ落とし穴が。降車時にバスでSuicaが使えなかったのです。
いつもの感覚でICカードを出した私に、運転手さんがひと言、「使えませんよ」と。
「えっ、使えないんですか!?」と驚いてあたふたしていると、後ろに並んでいた女性が、
「大丈夫よ、私たちは急いでないから」と優しく声をかけてくれました。
福島の人って、なんて親切なんでしょう。
その何気ないひと言が、本当に心にしみました。
そして…慌てて現金を用意し、なんとか降車。
旅先の公共交通では事前確認がいかに大切かを痛感しました。
娘はこの出来事を「旅っぽくていいね」と笑って受け止めてくれ、その前向きさに救われた気がしました。
小さな失敗も、こうして一緒に経験できることが旅の醍醐味だと実感しました。
バスの中では、次に食べる予定の地元グルメや、宿でどんな写真を撮るかといった話で盛り上がり、移動の時間すら楽しいものになりました。
地方では、まだまだICカードの使用が普及していないバス等があります。現金は必ず用意しておきましょう。
※福島交通のSuicaなどの交通系電子マネーは、2025年度を目途に利用開始予定です。
不思議な静けさと娘との時間


私たち母娘が泊まったお宿は福島県会津若松市「松林閣」さんです。
- 場所:〒969-6507 福島県河沼郡会津坂下町大字大上字森北1100-61 Tel. (0242)83-0500
- タイプ:割烹旅館
- 貸切風呂:無し
- 特徴
- 座敷童子が現れるという『吾妻五葉松』の部屋が有名
- 会津盆地の景色を一望できる山のお宿
- 湯質:無色・透明で弱アルカリ性
- 風呂の種類: 内風呂と露天風呂あり(露天風呂は現在休止中)
- 食事: 地元食材使用の品々と会津の地蕎麦を使った十割蕎麦




宿に着くと、そこはまさに時が止まったような空間。
木造の佇まい、ひんやりとした空気、そしてどこか見られているような感覚……。
午後3時すぎに宿へチェックインしましたが、その1時間後、午後4時頃からは、まるで嵐のような激しい雨が降り始めました。



まさかこの大雨が、翌日の思わぬトラブルにつながるなんて──そのときは想像もしていませんでした。
私たちが泊まった部屋は、座敷童子ちゃんに会えるという『吾妻五葉松』の隣の部屋である『蝦夷松』というお部屋です。


座敷童子ちゃんの手形と思われる写真を撮ったり、夜の廊下をそっと歩いたりと、非日常をたっぷりと味わいました。
怖いというより、不思議な安らぎのある時間でした。


宿の夕食は地元の食材をふんだんに使った品々で、どれも優しい味わい。
味噌で味付けされた郷土料理、山菜のおひたし、新鮮なお刺身など、どれも心のこもった料理ばかりで、心身ともにほぐれていくような感覚を覚えました。
お風呂上がりにいただいた湯上がりの牛乳も、旅情を深めてくれました。
宿のスタッフの方々も皆親切で、娘の話にも興味を持って耳を傾けてくれたり、写真スポットを教えてくれたりと、温かなやりとりが心に残っています。
夜は娘と布団に並んで、ひそひそといろんな話をしました。
子ども時代の思い出や、最近の悩み、推しの話まで……まるで修学旅行のような夜が、静かに更けていきました。
窓の外では虫の声が響き、どこか遠い昔にタイムスリップしたような、不思議な安心感に包まれて眠りにつきました。
夜は不思議とぐっすり眠ることが出来て、夜中に起きていた娘にも全く気づかないほどでした。
スマホのカメラで撮った動画には、しっかりと小さなたくさんのオーブが映っていました。
想定外の連続、帰り道のハプニング


翌朝、宿の方に車で会津坂下駅まで送っていただき、これでスムーズに帰れる……と思ったのも束の間、駅に着くと「前日の大雨で電車が運休」との張り紙が。
駅は小さく、周囲に人の気配もほとんどなし。
事情を説明すると、宿の方が再びバスターミナルまで送ってくださることに。なんというありがたさ……。
ようやくたどり着いた『会津バス坂下営業所』で乗車券を購入し、ほっとしたのもつかの間、今度はバスが故障。
修理のため数分間待たされることになり、会津若松駅を12時に出発しなければ郡山からの新幹線に間に合わないというプレッシャーがのしかかります。
幸運にも、ギリギリでバスは修理完了。バスの運転手さんに事情を話すと、「わかりました。猛スピードで!だけど安全運転で目的地へと向かいます!」と言ってくださいました。
おかげで、なんとか予定の高速バスに間に合いました。
この一連のトラブルを乗り越えたことで、娘とのチームワークが深まったような気がします。
「こういうのも、あとで笑い話になるんだよね」と娘が言ってくれた言葉が、とても心に残っています。
宿の方々の親切、バスの運転手さんの対応、そして自分たちでその場を乗り越えた経験が、旅をより意味のあるものにしてくれました。
最後のご褒美、郡山の「もりっしゅ」


旅の締めくくりは、郡山駅構内にある地元食材にこだわった食堂「もりっしゅ」でのランチでした。
駅ナカとは思えないほど落ち着いた雰囲気の店内は、木目調のテーブルとあたたかな照明が心地よく、旅の疲れをそっと癒してくれるようでした。
私たちが注文したのは、福島名物のひとつ「ソースかつ丼」。


大ぶりのロースかつが丼からはみ出すように盛られ、甘辛い濃厚なソースがたっぷりと染み込んでいます。
一口頬張ると、サクッとした衣の食感とジューシーなお肉の旨味が広がり、思わず顔がほころびました。
娘も「これは推せる味!」と満足げに頷いていて、その言葉に思わず笑ってしまいました。
さらに印象的だったのが、地元産の桃を使ったジュース。
爽やかな香りと自然な甘さが喉を潤し、郡山の初夏を口いっぱいに感じさせてくれました。
窓際の席で旅の思い出を語り合いながら、心もお腹も満たされる贅沢なひとときを過ごしました。
食事を終えた後は、駅構内の売店でお土産を選ぶのも楽しみのひとつ。
私は地元の銘酒と名産のお菓子を、娘はかわいらしいご当地キャラのグッズを手に取り、「また来ようね」と言い合いながら駅のホームへと向かいました。
「もりっしゅ」でのランチは、旅の締めくくりにふさわしい、温かく豊かな時間でした。
まとめ──トラブルも旅の味わいに


たった一泊の弾丸旅行でしたが、私たち母娘にとってはとても大きな経験でした。
座敷童子には出会えなかったけれど、人の温かさや旅先での判断力、そして何より娘との貴重な時間──この旅は多くの気づきと感謝に満ちていました。
次に訪れるときは、もう少し余裕を持ったスケジュールで、会津の街並みもゆっくり散策してみたい。
鶴ヶ城や七日町通り、会津武家屋敷など、次回は歴史に触れる旅もしてみたいと思います。
娘との初めての会津旅。まさに「珍道中」でしたが、すべてが愛おしい、忘れがたい旅の記憶となりました。
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